京の空、朝日に染まり、私たちは旅に出た。
目指すは社、心静かに落ち着く場所へ。電車の窓辺、夢を紡ぐ。
道の途中で、ふっと見つけたのは、
小さな杜、優しい気配がして。
呼ばれるように、足を踏み入れ、顔を上げたら
あら不思議。
そこにいたのは、ちょこんとかわいく座っている
キツネ、さん?
「狐さん?」と、そっとつぶやく。
「えっっ、狐さんが座っているよ!」
「えっ野生のキツネっているんだー」
友人は怪訝な顔して、「どこ?」「えっ」
「野生のキツネって??」
「ほら、あそこ!」私は優しく指を指した。
と、同時に、「えっー!!」
友人がすかさず、「ただの石だけど?」
私も、「だね・・」ただの石がそこに在るだけだった。
よく見たら、稲荷神社だったのね。
狐は、稲荷神社の祭神である宇迦之御魂大神
(うかのみたまのおおかみ)の使者なんだって。
ああ、姿を見せてくれたのね。
歓迎してくれたのかな、嬉しいな。
風がそっと、頬をなでる。
心は温かく、満たされていく。
古都の優しい、狐のいたずら。
忘れられない、素敵な出会い。
ありがとう。
