人のふり見てわがふり直せ、も学習なんです

キャリアコンサルタントとして

みなさんは、「人のふり見てわがふり直せ」って言葉をご存じですか?
ことわざなんですが、意味は以下のようです。

👉 他人の欠点や行動を見て、自分を振り返り改めること。
これは「他者を観察することで、自分の行動を変える」 という観察学習の一種。

まさにそのことわざ 「人のふり見てわがふり直せ」 は、バンデューラの理論と深くつながっています 👍✨

🔗 どうつながるのか?

  • バンデューラの 観察学習(モデリング) の考え方では、
    人は他者の行動を見て「よいことも悪いことも」学習します。

バンデューラの理論の全体像

バンデューラは 社会的学習理論(Social Learning Theory) を提唱し、その後に 社会的認知理論(Social Cognitive Theory) へと発展させました。
中心的な考え方は、
👉「人は他者を観察することで学習し、環境・行動・個人要因が相互に影響し合う」
という点です。

1. 社会的学習理論(Social Learning Theory)

🔑 ポイント

  • 学習は「直接の経験」だけではなく、他者を観察すること(モデリング) でも起こる。
  • 有名な研究が「ボボ人形実験」です。子どもが大人の攻撃的な行動を観察すると、自分も攻撃的にふるまうようになる、というもの。

主要概念

  1. モデリング(観察学習)
    • 他者の行動を見て、それを模倣・学習すること。
    • 例:子どもが親の言葉遣いや態度を真似する。
  2. 強化と罰(代理強化・代理罰)
    • 学習は必ずしも自分の経験だけでなく、他者が報酬や罰を受けるのを見て学ぶことも可能。
    • 例:兄が怒られるのを見て「自分はやらないでおこう」と学ぶ。
  3. 注意 → 保持 → 再生 → 動機づけ
    • 観察学習が成立するには、
      ①注意を向ける
      ②記憶に保持する
      ③実行できる能力を持つ
      ④実行する動機づけがある
      が必要。

2. 社会的認知理論(Social Cognitive Theory)

のちにバンデューラは理論を発展させ、人間を「環境に受け身」ではなく「能動的に環境を変える存在」 と捉えました。

🔑 核心概念

  1. 相互決定論(Reciprocal Determinism)
    • 行動(Behavior)、個人要因(Personal factors:認知・感情・信念)、環境(Environment)が、相互に影響し合う。
    • 例:人が職場で積極的に発言する(行動)→周囲の反応が良い(環境)→「自分はやれる」という自信(個人要因)が強まる。
  2. 自己効力感(Self-Efficacy)
    • バンデューラ理論の最も有名な概念。
    • 「自分はこの状況で必要な行動をうまく遂行できる」という信念。
    • 高い自己効力感 → 困難に挑戦する、失敗しても粘る。
    • 低い自己効力感 → 回避する、すぐに諦める。
  3. 代理経験と自己調整
    • 他者の成功や失敗を観察して「自分もできるかも」と思える(代理経験)。
    • 人は外的な強化だけでなく、自分で目標を立て、自己評価・自己報酬する(自己調整)。


キャリア支援において、クライアントの自己効力感を高めることが、挑戦や成長に直結します。その為には以下の方法が必要です。

  • 成功体験を積ませる
  • 他者の成功事例を見せる
  • 支援者の言葉で励ます
  • 不安を軽減する
    といったアプローチが有効。

その時に、他者の成功事例を見ることで自分も出来ると感じることが重要で、その為にも「観察学習」が必要です。観察学習が成功するには、他者に憧れている等、動機付けがあること、なんですね。

また、私は「人のふり見てわがふり直せ」は、悪いことだけだと勝手に思ってましたが、良い事にも適用できるんですね。この歳になって初めて認識が変わりました。学ぶことはいつになっても出来る!ってことなんですね(^^♪

みなさんは、憧れている人はいますか?