UFOとチップの記憶

不思議な体験談

昼下がりの教室、まぶたの裏に広がる宇宙。
私はいつも、夢を見ていた。
眠り姫と笑う人もいたけれど、私だけの秘密の場所を知っていた。

ある夜、窓を開けた。
見慣れたはずの街並みが、銀色の光に染まる。
近所の屋根の上、アンテナの傍らに、
それは、静かに浮かんでいた。

翌朝、騒音が世界を震わせた。
真上を何かが通り過ぎる。
心臓が高鳴り、確かに感じた。
あれは、昨夜のUFOだと。

「何も聞こえないよ」
母の声は、どこか遠い。
私だけの世界で、何かが始まろうとしていた。

ふと、左足首に違和感。
指先でそっと触れると、小さな突起。
ああ、そうか、チップを埋めにきたのか。
妙に納得して、笑ってしまった。

私の人生なんて、つまらないのに。
宇宙人も、物好きね。
それでも、どこか嬉しかった。
退屈な日常に、小さな星が降ってきたみたいで。

眠り姫の見る夢は、まだ終わらない。
足首の小さな星を抱いて、
私は今日も、夢を見る。
いつか、宇宙に戻れる日を夢見て。