私のお酒の飲み方には、昔からスローガンがありました。
「高濃度・短時間」
…いや、別に掲げていたわけじゃないんだけど、今振り返ると完全にそう。
お酒を飲む理由って、当時の私に聞いてみると案外シンプルで。
「楽しかったから」。
普段の私は、人の感情や空気を読みすぎて、会話もどこかすれ違っている感じがしていたし、下を向いて歩いているような感覚がずっとあった。
でも、お酒を飲むと違った。
顔が上がる。
楽しく話せる。
人と自然につながれる。
それだけで、すごく幸せだった。
だから飲む。
そして飲むと、深酒になる。
しかも、私の中で謎の価値観があって。
「すごい飲むね」
これを、完全に褒め言葉として受け取っていた。
今なら分かる。
別に酒豪選手権やってない。
でも当時は、認められたかったんだろうなと思う。
しかも飲めちゃう体質。
結果、飲みまくる。
ところが、人間界でいう50歳を過ぎたころ。
どうも上から注意喚起が来た(気がする)。
まず、体が変わった。
二日酔いが激しい。
吐かないと動けない。
肝機能や腎機能の数値も跳ね上がる。
検査すると戻っていて病名はつかない。
でも体は明らかに言っていた。
「そろそろ限界です。」
その時は反省する。
もう飲まない。
…と思う。
でも2〜3日すると普通に飲みたくなる。
そんなループ。
そして事件は起こる。
寒い冬の日。
飲みすぎて終電で帰宅。
最寄り駅のエスカレーターを下ろうとした瞬間。
足がもつれた。
気づいたら。
一番上から下まで、前回転で転がり落ちていた。
映画みたいに。
幸い真っ直ぐ落ちた。
誰も巻き込まなかった。
ダウンコートも着ていた。
結果。
全身擦り傷、ひどいねん挫。
でも、生きていた。
そして私。
恥ずかしすぎて。
何事もなかった顔で、すくっと立ち上がって歩き出した。
いや、歩くな。
その夜、痛みと吐き気でずっと苦しみながら思った。
何やってるんだろう。
お金払って飲んで。
体壊して。
傷つけて。
何を証明したかったんだろう。
そう考え始めた頃から、少しずつ変わった。
結局、お酒そのものが悪かったんじゃない。
私は、無意識に理由があって飲んでいた。
楽しさ。
解放。
承認。
頑張った自分への許可。
そこに気づいてから、少し楽になった。
今は思う。
体は、ずっと教えてくれていたんだなって。
…まあ、それにしても。
エスカレーター前回転は、なかなか派手だったけどね。(;^ω^)

